風の出自​​​​​​​
Where did you come from?
II’ve always wondered that ever since 
I was little and  also when I was traveling around the world.
Where does the wind come from?
This wind on my cheek might have dried the tears of someone faraway.
Just imagining that made the world seem closer.
There is no distant place.
There is no separate land.
No matter where you are, we are all connected by wind.
The wind that blows here now.
The dappled sunlight.
The bird song. 
Noticing every little thing around us at this very moment.
It is the same as thinking of a distant land.
Where you are now is connected to everything.
It is all here.​​​​​​​
あなたはどこからきたの? 
小さいときから、
旅をしているときもずっと思っていたこと。
風はどこから来るんだろう?
いま、私の頬に触れるこの風は、
遠いどこかで誰かの涙を乾かしたかもしれない。
そう思うだけで、世界は繋がる気がした。
遠くの世界なんてない。関係のない世界なんてない。
どこにいたって風で世界は繋がっていて、思いを馳せればみんな繋がっている。
今ここに吹く風。
揺れる木漏れ日。
鳥のさえずり。
「いま、この瞬間に、ここにあるもの」を見落とさずに感じること。
それは遠くに思いを馳せることと、逆のことのようで、同じこと。
今この場所が、すべてとつながっている。
すべてはここにあるのかもしれない。
■information
“ART STAYS”/ Ptuj castle, Slovenia, 2019
series work from 2013
Material : aluminum evaporation film, wire mesh
Size : W:5000mm x H:5000mm x D:5000mm
スロベニアで展示が決まったとき、すぐに風をテーマにした作品にしようと決めました。
以前から風をテーマにした作品は制作していたのですが、今回はスロベニアの歴史や風土と、私が約3年世界を旅しながら風に対して感じていたことがしっくりきたからでした。
世界を旅しているとどんな場所にも風が流れていて、いつも一緒にいる感覚があり、世界は風で繋がってるなぁ。
そう実感していました。
旧ユーゴスラビアのスロベニアは、まだ建国29年の新しい国。
島国、日本で育った私には想像もできないけれど、ある日いきなり国境が引かれ、親戚や家族が別の国の人になった。ということもあるようでした。
実際、制作を手伝ってくれていた現地スタッフの女性もクロアチアに住む親戚に会いに行くと言って何度か出かけて行きました。
スロベニア人、クロアチア人、ハンガリー人、ドイツ人、フランス人・・ヨーロッパ中のたくさんの人が作品を見にきてくださり、作品のコンセプトを話すとみなコンセプトに共感してくれました。
「国は違くなってしまったけど、みんなもともと家族だったし、今でも家族だと思っている。」
短い期間ではあったそうですが実際に戦争も経験した現地スタッフが、私の作品を一緒に準備しているときに話してくれたことなど、ずっと忘れないと思います。
作品を通して、国境や言語を越えてたくさんの人と思いを共有することができて、本当に素晴らしい経験ができました。機会を与えてくださったみなさん、助けてくださったみなさん、改めて心からありがとうございます。

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